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第36回《世界で初めて電波放送された曲?》G・ヘンデル: オン・ブラ・マイフ

最近は時期もあり、老人ホームやサロンなどでクリスマスコンサートをしていますが、そうした小さな会場でこの季節よく演奏する曲があります。それがヘンデルのオペラ『セルセ』の中のアアリア「オン・ブラ・マイフ」です。(速度表記から「ラルゴ」とタイトルされることもありますが・・)因みにタイトルの「オンブラ(Ombra)」とは、イタリア語で「影」の意味があり「マイ・フ」の「マイ」は英語で「never」。「フ」は三人称単数の過去形で合わせて「今までになかった」の意味になります。 

 曲を聴くとヘンデルのメロディーメーカーとしての才能を感じずにはいられません。その素朴で奥行きのある音楽は聴き手を穏やかな気持ちにさせてくれます。そして終曲し音が鳴り止んでも、そのメロディーは脳内再生を続けて長い余韻に浸ることができます。こうしたこの曲の持つ神聖なイメージがクリスマスに会っていると思い毎年何回かは取り上げる作品なのですが、実はこの曲にはもう一つ、クリスマスに演奏するに相応しい縁があります。

 今から100年以上前の1906年12月24日歴史的な出来事がありました。それはレジナルド・フェッセンデンにより行われた世界初のラジオの実験放送で、その放送でかけられた音楽がこの「オン・ブラ・マイフ」だったのです。つまり【世界で初めて電波に乗せて放送された音楽】が、この曲だったわけです。なんだか感慨深いですよね、

 そんなエピソードを話してから演奏を聴いてもらうと、お客さんはいつも何か思い出に浸りながら楽しんでくれている感じがします。こうした光景を見ると改めて「音楽っていいなぁ」と思います。ぜひ皆さんも一度聞いてみてください。きっと穏やかな気持ちになれるはずです。
 以下対訳です。
 
Ombra mai fù di vegetabile

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