第38回《大好きなのに「たまに」が良い曲》ブルックナー:交響曲第5番
今年の冬は本当に寒さが厳しいですね。横浜でも5年振りにしっかりと雪が積もり嫌になる程季節を感じます。早く暖かくなって欲しいと思いつつ、仕事以外では極力外に出ない日が続く最近、ふと聴きたくなる曲がありました。それがブルックナーの交響曲第5番です。「交響曲」というジャンルにおいては、個人的に一番好きな作品です。(←だから家でゆっくり聴きたくなるのか?笑)今日はそんな大好きな交響曲ブルックナーの5番を紹介しようと思います。
この曲の魅力はなんといっても、次々と登場するメロディーの多彩さ、そしてその個性の強いキャラクターを纏めあげる全楽章の統一感でしょう。どの楽章も目まぐるしく入れ替わるメロディーがとても新鮮で魅力的ですが、それがしっかり完結する所がすごいと思います。しっかりと風呂敷を畳めるのです(笑)
ミステリアスな序奏から始まる1楽章はこの楽章だけでも十分と思えるほど盛りだくさん、第2楽章は1楽章同様謎めいて曲を始めますが、続いて美しいテーマが突如現れます。しかしこのテーマの美しさは、いわゆる「ブルックナーのアダージョ」と言われる神秘的な美しさでは無く、確固たる意志を持った旋律が力強く歌いあげられます。第3楽章は軽快なスケルツオですがこれも中々大きな作りになっています。
そして、なんといってもこの第4楽章。1楽章と同じ様に始まりますが途中でこれまで出てきたメロディーが回想されます。(ベートーヴェンの9番第4楽章の様に)そして対位法的な展開を見せた後、唐突に金管楽器によるコラールが力強く出てきますが、そのコラールの旋律とこれまで出てきた旋律で壮大な二重フーガが繰り広げられます。(二重フーガというのは二つの異なったメロディーを用いて追いかけっこをする手法)このフーガが本当にすごいのです!そしてその壮大なフーガから再現される音楽、そしてコーダは圧倒的。まさに感動的なフィナーレ、大団円です。かっこいいです(笑)
ちなみにこの曲は原典番の他にも初演をした指揮者が改定したシャルク版というものが有りますが、最後の盛り上がりが更に強化されています。(他にもカットやオーケストレーションの変更などかなり大胆に変えられています)これはクナッパーツブッシュの演奏で有名ですが、個人的にはやはり原典の方が好きです。カラヤンが1954年にウィーン交響楽団とやったライブ録音が特に好きです。
と、寒さを吹き飛ぶくらい暑くなってしまいましたが、それほど魅力的な作品です。最初は一回聴くだけで胃もたれを起こしそうなぐらいコテコテな音楽ですが、「たまに」どうしても聴きたくなります。大好きな曲なのに「たまに」というのは矛盾していますね(笑)でも「たまに」でも十分良さを味わえます。そして癖になるのです。家系ラーメンのように・・・(ぇ
2月11日