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第39回《愛妻に残したコンチェルト》B・バルトーク:ピアノ協奏曲 第3番

すっかり春らしい天気になりました。たった一ヶ月ちょっとの違いなのに街の風景、空気感が全く違います。季節の進むスピードが本当に早いなと思う最近、また一つ日本に感動することがありました。それは休みを利用していった日本海でのこと。たまたま海の近くにいたので「海に夕日が沈むところが見えるかもしれない」と思い急いで移動してみると、なんとも美しい夕映えを拝むことができました。実際には風が冷たく凍えそうでしたが、なんとも温かい気持ちになれる瞬間でした。日本にはまなだまだ良い所があるのだと再認識しました。
そんな暖かな春に、ちょっとほっこりする温かい曲を紹介したいと思います。B・バルトーク:ピアノ協奏曲 第3番です

 バルトークは作曲家であると同時に優れたピアニストでもありました。彼は3曲のピアノ協奏曲を残していますがどれも20世紀を代表するピアノ協奏曲でピアニストにとって重要なレパートリーとなっています。ピアノを打楽器的に用いて大きな反響を巻き起こす第1番。それを更に徹底した最円熟期の第2番。どちらも技巧的で完成されたピアニズムが随所に見られる傑作ですが、2番から10年以上間を空け亡命の地アメリカで作曲されたのがこの第3番でした。

 この作品は晩年も晩年、1945年バルトークが白血病で亡くなる直前まで作曲されていたもので、フィナーレの17小節は彼の死後友人の作曲家ティボール・シェルリによって補筆されて完成しました。1・2番に比べてかなり古典的に聴こえる作品ですが「バルトークらしい魅力」も十分に感じられる名曲です・特に2楽章のアダージョなどは宗教的な響きすら感じる美曲だと思います。
 
 そんな魅力的な第3番ですが、実はこの曲バルトークの婦人でピアニストのディッタへの誕生日プレゼントとして作曲されたで曲でした。死期を悟った作曲家が妻を思い書き残した遺品的な作品、全体を通して優しさに溢れた「奥さんへの愛を感じる」なんとも心温まる名曲です。是非、そんなバックグラウンドを頭の片隅に置きながら一度聴いてみてください。どの楽章を取っても「ほっこり」できるはずです。︎

3月25日

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