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第40回《究極のロマンティシズム》A・ベルク:ピアノソナタ 作品1

近くの公演にチュウリップが咲き始め、街の景色がだんだんカラフルになって行くのを見ると、「今年度も始まったのだな」と実感として湧いてきます。今年度はどんな一年になるのか、不安と期待が一番大きな時期ですね。今年は移動もありどちらかと言うと不安の方が大きいかな?と(笑)そんな今回はそんな不安を追いやろうと今聴いている音楽、ちょっと大人でロマンティックな作品を紹介しようと思います。自分も大学2年の時に演奏した大好きな作品です。アルバン・ベルクのピアノソナタ ロ短調 作品1 

 ベルクのピアノソナタは、「調性音楽の最終地点」ともいえる、いわゆる現代音楽や無調の音楽に行き着く直前にある曲です。つまりロマン主義的な作品の究極の形?なわけですね。冒頭の主題が全ての元になっていて、それを素材に大きく展開(むしろ変容?)していくのですが、その主題がとにかく美しい。ミステリアスで一瞬にして惹きつけられます。そしてそこから湧き出る音楽は正に感情のウネリ。真ん中(展開部)で訪れる頂点では内に秘めていたものが一気に外に出てくるようで、聴き手と音楽がシンクロしやすい作品だと思います。そして曲の最後、pppで音楽が解決する瞬間では、なんとも言えない安心感を味わえます。

一見(一聴?)モダンな現代音楽に聴こえますが、実は歌心溢れる名曲です。一曲を通してのドラマ、そして最後に訪れる安らぎは格別。これが究極のロマンティシズム?なのかもしれません。是非みなさん聞いてみてください。

そんなこんなで今年度も充実した一年になりますように。色々と楽しみながら活動していきたいと思います。

4月20日

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