第2回《ベートーヴェンの後にかけるもの》 シューベルト:交響曲第9番 D944『ザ・グレイト』
早めに退勤出来たので、駅とは反対方向高台の頂上へと散歩に出かけました。今日は天気も良く京浜工業地帯の海(房総半島まで)やコンテナ船、山手越しのベイブリッチも見えて、とても清々しい気分で練習が出来そうです。
さて、そんな気分の時に聴きたい曲は、シューベルトの傑作『ザ・グレート』です。この曲、実はシューベルトの死後約10年を経て後輩作曲家のRシューマンがスコアを発見し初演(演奏はメンデルスゾーン指揮ライプツィヒゲバントハウス管)にこぎつけたと言う、言ってみれば掘り出し物の作品でした。しかしその内容はシューベルトの交響曲創作における結論とも言うべき大作で、彼独自のロマンティクな叙情性と、憧れていたベートーヴェンの古典的で壮大な作風の両面の融合の上に成立しています。つまり、シューベルトの持ち味と音楽に対する理想といった双方が絶妙に調和した集大成の名曲なのです。
僕は小学生の頃からこの曲が好きで、清々しい冒頭のホルンが聴こえてから終楽章の駆け抜けるようなフィナーレまで、心を奪われ音楽に没頭していました。特に2楽章のヘ長調で奏でられる第2主題(暗い部屋に淡い光が差し込む様な場面)は、いつ聞いても魅了される美しさです。是非聴いてみてください←押し付け?笑
因みに、シューベルトが無くなる4年前の1824年、音楽界の大事件とも言われたベートーヴェンの第9交響曲の初演がウィーンで行われました。同じ街に居たシューベルトがこの初演を聞いたかどうか、史実としては分かっていません。しかし、『ザ・グレイト』の中に「これは絶対聞いただろ〜」と思わせるメロディーが出てきます。それは第4楽章!あの有名な喜びの歌の旋律の断片が突然現れます。是非探してみてください。
シューベルトは生前、「ベートーヴェンの後に何が書けるでしょうか?」と友人に弱音をはいていたそうです。いやいやいや、シューベルトの第9、ザ・グレイト!!
2015年10月8日(木)夕方