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第12回《音楽の旅》武満徹:系図(Family Tree)〜若い人たちの為の音楽詩

 先日、祖母の三回忌の為、仏壇のある滋賀の親戚の家に車で行ってきました。この歳になると家族でどこかに行くということも少なくなり、一台の車で家族四人、色々と話をしながらの旅は、何だか感慨深い(或いは新鮮)なものがありました。前日の夜に彦根まで行き一泊。目的地まで更に車で1時間程かかるので、当日の朝、無理やり時間を作り彦根城を見学してきました。朝の空気を感じながら家族で見る彦根城と琵琶湖の風景。そんなシチュエーションもあってか、少しばかし祖母との色々を思い出しながら、慌ただしく彦根城を後にしました。(そんなバタバタ感もうちらしい。笑)
 翌日帰ってきて、そんな出来事を思い出しながら聴いていた音楽が、偶然にもこの曲でした。武満徹の作品群で、個人的に最も好きな曲の一つ。『系図(Family Tree)』今回はこの作品の魅力について書こうと思います。

 「ノベンバーステップス」では琵琶と尺八、「セレモニアル」では笙など、母国日本の和楽器をソロとするオーケストラ作品も有名な武満ですが、この『系図(Family Tree)』では、朗読とオーケストラと言う、これまた変わったスタイルで書かれています。言ってみれば、語りと管弦楽の為の協奏曲ですね。
 魅力はなんと言っても詩と音楽の調和。詩は谷川俊太郎の「はだか」から選んだ6編。音楽は日本と西洋文化の融合とても言える繊細で印象的なサウンド。この二つが見事に調和して、聴き手を一瞬でその世界に引き込みます。その世界とは、今とは違う穏やかな日本の風景。誰もが共感できる主人公(少女)の成長。或いは、聴き手一人一人が其々の経験からイメージを膨らませる事ができるメモリー。そんな世界に導いてくれる素晴らしい作品だと思います。

 武満は自分の音楽を絵画として捉えていたそうです。「音楽は聞くだけではなく見て欲しい」と。この作品を聴くと、映像ではなく常に動きのある絵を見ている様な、そんな感覚を味わえます。

 曲全体を通して特に山場はありません。ですが、その世界に浸り長い旅路が終わって初めて、作品のメッセージが分かります。皆さんも、この音楽の旅(人生の旅?)を是非!味わってみて下さい。(笑)

2016年3月22日(火)

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