第26回《朝焼けを描写する(ラヴェルの魅力③)M・ラヴェル:バレエ音楽《ダフニスとクロエ》より『夜明け』
怒涛の年度末も大詰めに向かう前に「エネルギーチャージ!」と自分を甘やかし、プチ旅行で熱海まで行ってきました。日曜日仕事を終えて横浜駅に直行、夕方6時の東海道線に乗っていざ熱海へ。某旅行サイトでやっていた「初島、丼合戦!」というお得なプラン(宿代と朝食、初島の往復フェリー券、島で使える海鮮丼の食事券までついてC万ポッキリ)で休養してきました。その日は電車の中で弁当を食べて熱海では温泉入って寝るだけ(笑)。二日目は朝風呂を楽しんで朝食、フェリーに乗って初島でご飯、雨も降ってきたので本土に戻って起雲閣見学、夕方の電車で帰路に付き6時には家に着くという弾丸旅行でした。一週間前に思い付き決めたノープラン旅にしては大満足な内容でした。やはり横浜から熱海は近いですね!
宿は全室オーシャンビューだったので、朝起きて海を楽しもうと6時に起床。曇り空でしたがが、なんとか朝焼けを拝む事が出来ました。波の音を聞きながらそんな風景をボーと眺めていると、不思議と普段の色々を忘れられました。「やっぱり海は良いなぁ〜」そんな事を思いながら、頭の中で何の曲が合うかなと考えてみると・・・やっぱりラヴェルの風景描写ってすごい!(笑)と言うことで、今回もラヴェルの作品を紹介しようと思います。(前回で終わる予定でしたが汗)バレエ音楽《ダフニスとクロエ》第3部より『夜明け』です。
オーケストレーションの天才と言われる事も多い(例えばムソルグスキーの「展覧会の絵」を管弦楽版にアレンジした様に)ラヴェルですが、この曲の風景描写は特に繊細で革新的な技法が使われています。
まず朝の静かな情景をハープのグリッサンドと、交代で出てくるフルートとクラリネットのアルペジオ(分散和音)によって描かれています。それを支える弦楽器にはヴァイオリンに弱音器ヴィオラには弱音器無しで一つの音群を作り出す様指示があり神秘的な響きに。低音でうねっていたチェロやコントラバスは少しずつメロディックになっていき、ゆっくりと音域を上げていきます。まるで大海に日の出を見る様な描写です。更にヴァイオリンとピッコロ、フルートによる鳥の鳴き声が聴こえてきて・・・と、語りだしたら切りがありません(笑)。
これ程のオーケストレーションは中々ないと思います。「このパッセージは〇〇を表している〜」では無く、音楽が映像と共に押し寄せてくる感覚を味わう事ができる、やっぱりラヴェルって凄いなぁと唸ってしまいます。是非一度(例えば朝のランニングをしながら?笑)聴いてみてください。
余談ですが、何年か前小学校5年生のクラスに、何の情報も与えずにこの曲を聴かせてどんな感じがするか意見を求めた事があります。するとすぐに「朝」と言う答えが返ってきました。感じ方は人其々と言いますが、或いはこの曲に限って言えばそれも当てはまらないかもしれません。
2017年3月6日(月)