第4回《生誕150周年に寄せて①》シベリウス:交響曲第1番 ホ短調 作品39
ここは意外と海が近い。車で行くと横浜横須賀道路から逗葉新道を通れば20分程で葉山や逗子の海岸線(相模湾)に出ることが出来ます。日の沈む頃に行くと海と夕映えが美しいコントラストを見せてくれるのでたまに行きたくなります。それは仕事に疲れていても・・・
さて、今年はジャン・シベリウス(1865〜1957)の生誕150周年にあたります。メモリアルイヤーと言うやつです。一年を通して様々なコンサートでシベリウス作品が取り上げられていました。今回は、そんな彼の交響曲の中から一曲を紹介します。シベリウス:交響曲第1番 ホ短調 作品39
シベリウスの交響曲は、初期の声楽を伴う大規模な交響曲『クレルヴォ』を除くと、番号の付いているものが全部で7曲あります。どれも個性的で素晴らしい作品ばかりですが、30代の作曲者が最初に番号をつけたこの交響曲は、僕自身特別好きな作品になりました。中学生の頃初めて聴いてからというもの、最初から最後までしつこい位感情を出してくる音楽や叙情性が癖になってしまったのです。
第一楽章から激情とでも言えるほど感情が溢れ出ていますが、これは全曲を通して続きます。どの楽章も単体で交響詩にでも成り得そうな位、其々が個性的でドラマがあり、聴き応え抜群な楽章たちです。中でも聴きどころは2楽章。暗闇に飲まれていく赤黒い空を想起させる、そんな美しさを持っています。(勝手なイメージです。笑)因みにシベリウス作品の中で言うと「夜明け」のイメージは交響曲5番の第1楽章です。そちらも是非聴いてみてください。(これまた勝手なイメージです。笑)
尚、この時期のリベリウスは、留学中に接したリヒャルトシュトラウスの『ドンファン』やベルリンで聴いたベルリオーズの『幻想交響曲』などに感銘を受けていたと言われています。なので、この作品の持つ各楽章の性格は、そうした背景を思えば「なるほどなぁ〜」と納得させられます。何となく各楽章に「自分だったらどんな副題をつけるかな」というのを考えるのも又、楽しいです。
2015年11月6日(金)