第5回《生誕150周年に寄せて②》 シベリウス:交響詩『フィンランディア』 作品26
2015年11月の27日(金)の夜、港南区民文化センターひまわりの郷ホールにおいて当教室主催公演のラムネーズコンサート《サーカスソナタ》が催されます。ラムネーズはピアニスト4人のグループで、ピアノアンサンブルによって2台ピアノオリジナル作品やオーケストラ作品を演奏し、「クラシック音楽をより身近に感じてもらう」をコンセプトに活動を続けているグループです。そのラムネーズコンサートで今回は、シベリウス作品中(恐らく)最も有名な作品をプログラムに入れました。もちろんメモリアルイヤーだからです・・・・(笑)
数多いシベリウス作品の中で「フィンランディア」の知名度には圧倒的なものがあります。なぜでしょうか?それには彼の母国フィンランドの当時の時代背景が大きく関わっています。作曲された1899年頃はまだ帝国ロシアの圧政下にあり、そんな中真の独立を願うフィンランド人の間では、国民主義的な運動が盛り上がりを示していました。そのような気運にのってこの交響詩「フィンランディア」は人々から熱狂的に支持され、真の独立と自立への象徴のような存在へとなっていったのです。初演当時あまりの人気に危機を感じた帝国ロシアは、この曲の演奏を禁止しました。ですがそうした処置とは裏腹に曲は大ヒットを続け、今も尚フィンランド第2の国家として親しまれています。
又、曲の作りも聴いている人の心を沸き立たせる様な演出が施されています。重々しく悲劇的な冒頭から始まり、激しい闘争を経て、平和を歌う賛歌に至る。まるで帝国ロシア圧政下にある暗闇から、幾多の困難を乗り越え、最後は祖国の勝利を高々と歌い上げるといった政治的背景を表している様です。そうした明確なコンセプトも又、人気を得た要因の一つだったのかもしれません。
今日はラムネーズのリハーサルで朝からホールに行ってきました。オリジナルのオーケストラには敵いませんが、ピアニスト4人8本の手で、このドラマを少しでも感じて頂かれば嬉しいです。
2015年11月24日(火)