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第8回《音楽の中に探し求めたもの》 W.A.モーツアルト:ピアノ協奏曲第24番 ハ短調 K491

 今年も一年が終わろうとしています。年末は毎年岡山で過ごすのが恒例になっていて(横浜で過ごしたのは1度だけ)、新幹線でボーと景色を眺めながら、「今年ももう終わりか〜」と、膨大なやり残した事を考えます。今年は暖冬のせいか、いつもなら有る積雪(或いは降った形跡が残る)関ヶ原周辺にも、伊吹山にも、冬の気配は感じられませんでした。そんな年の瀬…
 新幹線の車中に聴く音楽が今年最後に聴く曲になります。大阪を出発するとあともう少し、大体の時間を考え選んだのはモーツアルトのピアノ協奏曲ハ短調です。

 モーツアルトの数少ない短調の作品の中でも、最も彫りの深い(?)曲で、ピアノの紡ぎ出す印象的な旋律もさることながら、其れに対峙する木管のアンサンブルもとても魅力的な作品です。
 第1楽章では、跳躍を含むミステリアスな旋律が支配しており、内に対する怒りや悲しみ、不安を同時に抱えながら何処かに安らぎを求めるような音楽が何とも言えません。長調(明るい音楽)で演奏される第2主題でさえも、どこか暗い影を落としています。第2楽章では一変1楽章における緊張感が嘘のような、平穏でシンプルな主題が現れます。ここで味わう事ができる安心感には格別です。ロンド主題(何度も出てくる旋律)の間に現れる木管アンサンブルによる音楽も又、不思議な安らぎを与えてくれます。第3楽章はハ短調に戻り長大な変奏曲。目まぐるしく変わっていく音楽の渦が、この楽章だけで様々な表情を見せてくれます。最後は8分の6に拍子を変えて、情動を煽る様な音楽が劇的なクライマックスを形成します。

 多くの不安を抱えながらも音楽の中で安らぎを探し求めるこの24番は、名曲揃いのピアノ協奏曲というジャンルにおいて特別な協奏曲の様に思います。個人的には一番惹きつけられる作品です。果たして安らぎは見つかったのか?聴いてみて下さい(笑)。

 今年も終わろうとしているこの時期にこれを選曲した自分のメンタルはどうなっているのか、気になるところではありますが、お陰で2016年に向けて気合を入れることができました。来年は空回りしない程度に頑張りたいと思います。皆様におかれましても2016年が素晴らし1年になりますように。
 ふと時計を見ると家族との待ち合わせ時間が・・・急がねば。

2015年12月30日(水)

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