第19回《シェイクスピア没後400年に寄せて》E・W・コルンゴルト:4つのシェイクスピアの歌Op31
10月1日、横浜のイギリス館で歌手の岡田みみさんとコンサートを行います。
『シェイクスピア没後400年に寄せて』と題し、シェイクスピアの詩をテキストに作られた歌曲や、戯曲を題材にした音楽、またシェイクスピアの生きていた当時のイギリスにゆかりのある音楽を取りと今年ならでは?と言えるコンサートになる予定です。お時間のある方は是非、来ていただけると嬉しいです。
と言う事で、今回はコンサートで取り上げる曲の中から1曲、ご紹介したいと思います。E・W・コルンゴルト作曲の「4つのシェイクスピアの歌」Op31です。
コルンゴルトは20世紀初頭、ウィーンで「神童」と呼ばれていた作曲家で名前に【ウォルフガング】が入っていたため、「モーツアルトの生まれ変わり」とも言われた程才能溢れる作曲家でした。(マーラーやプッチーニが10代の彼の作品を聴いて怖れを感じたという話も…)そして彼の代表作であり最大のヒット作でもあるオペラ『死の都』が初演された当時、コルンゴルトは未だ23歳でした。本当に早熟だと言う事がわかります。特にマリエッタのアリア「私に残された幸せ」は、単独で取り上げられるほど有名で本当に素敵な曲です。自分もコンサートで何度も演奏し(歌ってもらいw)ました。
と話が逸れましたが、そんな彼が作曲した『4つのシェイクスピアの歌』作品31。どれも個性的でアイディアに満ち溢れた音楽で、それでいて心に染みるメロディー。シェイクスピアの詩の情景を音楽で見事に描写しています。又、ピアノ弾きの視点から見ると、伴奏における器楽的な響きとリズムの楽しさは、伴奏でありならも「共演」している感覚を堪能できる歌曲です。そして楽譜から伝わってくる作曲者の意図、思い。(言葉の発音に合わせたアクセント、尺の伸び縮みも拍子を変えて示してくれる等々)本当に傑作です!
4曲のテキストはそれぞれ、第1曲「オセロ」第2・3・4曲は「お気に召すまま」から取られています。1曲目と4曲目に使われる詩は特に有名で、後の様々な時代に多くのの作曲家が曲を付けています。それだけ多くの芸術家にインスピレーションを与える内容ですが、コルンゴルトはどう料理したのか、これもまた、聴きどころです。是非一度聴いてみてください。
第1曲『デスデモーナの歌』(柳の歌)
第2曲『緑の森の木の下で』
第3曲『吹け、吹け、冬の風』
第4曲『鳥が歌う時』
※ 1曲毎の詩については、共演者の岡田ミミさんがブログに書いてくれています。こちらも読んで頂けると幸いです。岡田ミミのブログ http://ameblo.jp/okadamimi/
因みに、シェイクスピアと言えば四大悲劇「ハムレット」「マクベス」「オセロ」「リア王」が有名ですが、「ロミオとジュリエット」「ヴェニスの商人」「夏の夜の夢」「ジュリアス・シーザー」等、名作揃いの戯曲全37作を原作としてクレジットされているタイトル作品は、現代に至るまで何と1000タイトル以上あるそうです。世界で最も映像化されている作家かもしれませんね!
2016年9月24日(土)