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第42回《これが本当のラプソディー?》J・ブラームス:『ゲーテの「冬のハルツの旅」からの断章』作品53

あっという間に一年が経ってしまいました。昨年度は公私ともに沢山のことがあり、ほとんどパソコンに向かう時間も作れず過ぎてしまいました。もう2019年4月です。みなさんいかがお過ごしですか?

さて、最近で一番大きな出来事といえば新元号の発表ですね。5月より平成から令和に変わるということで、心新たに動きだそうと思っている方も多いのではないでしょうか?私も新たなプロジェクトに取り組もうと準備をしているところです。そんな作業をしつつ、今聴いている魅力的な音楽を今日は紹介しようと思います。これは皆さんに聞いて欲しい!J・ブラームスの『ゲーテの「冬のハルツの旅」からの断章』作品53です。

この曲には『ゲーテの「冬のハルツの旅」からの断章』というタイトルが付けられていますが、そのコンセプトから『アルト・ラプソディ』と言う通称で親しまれています。あまり大きくない管弦楽(金管はホルン2本のみ、打楽器はいない)と男声合唱、そしてアルトのソロのための作品。この曲・・・・・・・ブラームス好きにはたまらない一曲。彼がまだ30代の作品で、交響曲もまだ書いていない頃に残したものです。が!しかし、老成なブラームスらしいなんとも言えない味わいが凝縮された一曲なのです。

重々しい不思議な響きのする始まりは何か期待感すら抱きます。そんな中に朗々と歌い出されるアルトのソロはなんとも憂愁。味わい深いメロディーがたまりません。そして後半では男声合唱も加わり光が差し込みます。アルトと合唱の溶け合う美しさは正に絶妙!深い祈りを感じます。詩の内容は、冬の山の厳しさの中で一人の青年が、世を、人を、さらには自己を恨み、遂にそれらの苦悶への救済の祈願にいたる・・・といったものですが、この激しい情動を見事に音楽へとリンクさせるブラームス。これが本当のラプソディーかも?

と、勢いに任せて書いてしまいましたが、そうなってしまう程ブラームスファンを納得させてくれる名曲だと思います(笑)機会があれば是非一度聴いてみてください。

2019年4月5日

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