第16回《若き晩年の音楽》F・シューベルト:幻想曲 ヘ短調 D.940
昨日、無事にラムネーズ渡部有事とのデュオリサイタルin千葉が終わりました。勿論課題も有りましたが、楽しんで演奏為る事が出来ました。次回7月30日横浜公演(横浜イギリス館)に向けて更に精進して行きたいと思います。心配なのは自分のソロ、千葉とプログラムを変えるので今から猛練習です(笑)そんな今回のデュオリサイタルでは前半にモーツアルトの初期と晩年ソナタを2曲、後半はシューベルトの晩年作品を中心に組んだもので、柱にはシューベルトの最晩年の傑作、幻想曲 ヘ短調D940を持ってきました。今回はこの連弾というジャンルにおいても重要なレパートリーとされている、この幻想曲ヘ短調を紹介したいと思います。
鍵盤楽器の発達と共にようやく歴史が進みだした「ピアノ連弾」というジャンル。音域が広がり鍵盤の数が増えた事で一台のピアノを2人(4手)で弾く事が認識されはじめ、モーツアルトのソナタによって急激に進みはじますが、このシューベルトの幻想曲は、或いは一つの頂点にあるとも言えます。
1曲で20分にもなる大作ですが、その完成度の高さ、充実ぶりはシューベルトの作品の中でも際立つものがあります。4部構成で描かれていて、特に、高度な作曲技法を駆使して書かれた最後の2重フーガの部分(普通は1つのメロディーで追いかけっこをする所を、二つの異なったメロディーで追いかけっこをする)は、彼の集大成とも言える深い幻想性を感じる事ができると思います。
彼は若干31歳という若さで亡くなってしまいますが、この作品を聞くとまるで「80年の長い生涯を生き抜いてきた」かのような円熟味を感しる事ができます。近く訪れる死期すら感じさせる独特の表情は、若き晩年を迎えたシューベルトが辿り着いた境地なのかもしれません。
そう遠く無い将来に訪れる31歳と言う年齢。その時自分はどんな人間になっているのか?(今より少しでも変わっていてほしい・・笑)シューベルト程の深みは出なくても、少し味のある人間になれていたら良いなぁ〜、と思ってみたりして。そうなれる様、日々精進して行きます!まずは横浜公演(笑)
7月4日(月)